小学2年生の担任なので、アーノルド・ノーベル作の「お手紙」をやりました。
僕が小学校の時に授業でやったことはとうに忘れていました。絵が素敵なのは覚えていました。
「お手紙」はどういう話か一言でいうと、お手紙がこなくて悲しんでいる”がまくん”に”かえるくん”がお手紙を出すお話です。
たったそれだけのお話ですが、一つ一つの言葉を見ていくと、この物語の奥深さが見えます。
初任者指導の先生のアドバイスで、授業では、子供たちの初発の感想から授業を作りました。
子供たちはこんな疑問を持っていました。
「なぜがまくんはお手紙をまつ時間が悲しいのか」
「なぜかえる君はお手紙を出したっていっちゃったのか」
また、「かたつむりくんがすぐやるぜって言ったのに、手紙を届けるのに4日もかかったのが面白い」とも言っていました。
この疑問を解消していくと、一つ一つの言葉の凄さが分かります。
がまくんは、物語の中で「だれも、ぼくにお手紙なんかくれたことがないんだ。毎日、ぼくのゆうびんうけは空っぽさ。お手紙をまっているときがかなしいのは、そのためなのさ。」と言っています。
お手紙がこないのが悲しいのではなくて、お手紙を待つ”時間”が悲しいんですね。
だから、その待つ時間を悲しい時間にするのではなく、幸せな時間にするために、かえるくんが、「だって、ぼくが、きみにお手紙出したんだもの。」って言っちゃったんですね。
そして、かたつむりくん。お手紙が来ると分かっている時間は幸せそのものです。その時間をわざとじゃないけどのばしにのばしてくれたかたつむりくんは大事なキャラクター。だからかたつむりくんがお手紙の話に出てきたのは偶然のようで必然かもしれない。作者のアーノルド・ノーベルの凄さが分かります。
初任者指導の先生は最初からこのような授業展開になるだろうと予想して僕を指導してくれていたと思います。
指導書にはあまり書かれていない内容だけれど、子供たちと物語を読み込んでいくのは素直に楽しかったです。物語を書く人って本当にすごい人だなと思いました。
下の写真は町の本屋さんにあった本です。小っちゃい本です。
かえるにはかえるの哲学があるんですね。
人間もかえるの哲学から学べることがあるかもしれません。