サバイバル教師日記

教師3年目 日々の挑戦を書きます。

1.5÷1.5=1が分からない

今、僕のクラスの算数は、「小数のわり算」の単元です。

先週、面白いことがありました。

ある子が、「1.5÷1.5=1」が分からないと言いました。

「1÷1=1」は分かるけど、「1.5÷1.5=0.1」じゃないの?なんで小数にならないの?と。

別の子が、「電卓でやってみなよ。どの数字も、一緒の数で割れば全部1になるよ。」と言いました。やってみました。確かに全部1です。

でも分からない。その子は、なぜそうなるのか分からなくて、そこでどうしても考え込んでしまい次のことにいけないのです。

その前の授業でも、おそらく4年生でも、小数のわり算のきまりで、「100÷100=1」、わられる数とわる数両方に÷10をしても答えは1です。15÷15も1.5÷1.5も答えは1です。ひっ算でやっても、絶対1になります。でもその子は分からない。

その子は、先生の教え方が悪いと言います。僕は一斉授業もしています。だから、この説明も僕はしています。

じゃあ、その子が1.5÷1.5=1であることが納得できるようにしよう、と子供たちに委ねました。色んなところで議論が起こります。多分、その子だけではなくて、他の子もいざなぜ1.5÷1.5=1になるのかと言われたら答えられない子もいるでしょう。

ある子が、一つの紙切れをその子に渡していました。そこにはリンゴの絵と自分で作ったキャラクターで説明を書いていました。

僕もなるほどその説明の仕方があったかと思いました。

その子は、なぜ1.5÷1.5が1になるのか分かったと言いました。

 

正直いうと、僕は1.5÷1.5がなぜ1なのか、なんでこんなにも分からないんだと思ってしまっていました。そんなの当たり前だろと。まさかここでつまづくかと。なんで僕の説明で分かってくれないんだよと。しかも僕の説明が悪いって!(笑)正直その授業が終わった後は放心状態でした。

 

でも、その子とこのクラスの子たちは僕に大切なことを教えてくれたんだと思います。

そしてみんなで大切なことに気づけたんだと思います。

 

僕は次の日、みんなに言いました。

「昨日の授業面白かった。僕の説明で分かる人もいれば分からない人もいる。誰の説明で自分が分かるようになるかなんて分からない。だからこそこのクラスのみんなで助け合って関わり合っていくしかないんだよね。みんなの姿を見て、算数”を”勉強しているんじゃなくて、算数”で”勉強しているんだなと思った。みんなに教えてもらいました。」

 

一斉授業を行っていく中で、自分の限界を知り、自分の愚かさを知り、子供たちの可能性を知りました。そして確信をもてる事件だったと、自分の中では思います。

 

この記事を読んでいる人で、そんなのも子供に分からせられないなんて失格だ、何してんだと思う人もいるかもしれません。確かにそうかもしれないけど、自分が全てを知っている必要はないということも子供たちは教えてくれたように思います。

 

1.5÷1.5が1なんて知らなくても生きていける。でも、それが自分の課題だと思った時に助けてくれる仲間がいて、解決できたという経験が、これから生きていくクラスの子たちにとっていい経験だったと思うんです。

 

正直僕はブレブレです。自分の教師としての在り方はブレブレだと自分で思います。しかし、子供たちが僕を引っ張ってくれているのを感じます。

そして、分からないことを素直に分からないと言える環境があり、それを助ける環境ができていたのは、自分が3か月子供たちと過ごしてきた甲斐があったのかなと思います。