増田直紀さんの「私たちはどうつながっているのか」を読まさせていただきました。なぜ読んだかというと、西川先生がお勧めしているからというのはもちろんですが、今年の西川研究室が主催する越後『学び合い』の会の基調講演が著者の増田直紀さんだからです。
読んだ感想として、『学び合い』で人との繋がりを大事にする理由が理論的に理解できたような気がする、ということです。
『学び合い』の考え方によくある、多様で多数の知人を得ることが大事であるということ。親兄弟、親戚、親友、つまり”強い紐帯”でむすばれているような人ではなく、”弱い紐帯”で結ばれている知人を多く手に入れた方が自分が困ったときに助かりやすいということが分かりました。昔は終身雇用制で景気も良かったので強い紐帯があれば生き残ることが出来たのですが、今はそれが崩れてしまっているので弱い紐帯がなければ生きていけません。
この本で特にいいなと感じたことは、ネットワークは多く持っている方が絶対いいとか、ハブ(つながりをたくさん持っている人)になった方が絶対いいとかは言っておらず、つながりを多く持っている方が確かにいいけど、でもデメリットもあるし、結局は自分に合ったネットワークを形成していくことが大事であると読者に伝えている点です。
つながりを多く持とうとしても、逆に疲れてしまうことがあります。色んなコミュニティに顔を出すことはメリットはありますが、自分のキャパを超えてしまうとかえって逆に働いてしてしまうのかもしれません。だからこそ大事なのはそういった色んな所に繋がれる人と繋がることです。ハブと繋がれればそれでいいかもしれません。でも、そんな人を見つけることは難しいかもしれません。
学校は色んな人が集まってくる場所です。将来みんな同じ仕事をするわけではありません。それぞれ学校で出会った友達は、将来的に自分とは違うつながりを持つようになっていきます。学校で出会った友達こそ、その中にハブがいるかもしれません。また、自分がハブになっているかもしれません。
学校という場所は幼少期にその地域の同じ年代の人たちが集まりやすい場所であり繋がりをつくりやすい場所です。いくらインターネットが普及しても直にあって同じ目標を共有した人とはつながりが深くなります。そのつながりが将来にもつながっていくことで子どもたちは自分が困ったときに助かる率が高くなるといると思います。
この本は思ったよりも読みやすく、そしてとても面白かったです。普通に生活していると気付かないような気にも触れないような人とのつながりがこんな感じでできているんだという驚きや発見がありました。特に”6次の隔たり”で、遠くにいるどんな人でも繋がれるというのはびっくりで面白かったです。
10月の越後『学び合い』の会で直接お話が聞けるのがとても楽しみです。