サバイバル教師日記

教師3年目 日々の挑戦を書きます。

『「ハッピーな部活」のつくり方』を読んで

「ハッピーな部活」のつくり方

 『「ハッピーな部活」のつくり方 中澤篤史・内田良』 を読まさせていただきました。 

 この本はぜひ全国の学校の学級文庫に置いて欲しいなと思います。

自分がしたい運動や文化活動を思う存分楽しめるのが,本来の部活のあり方.しかし実際には長時間練習,勝利至上主義,理不尽な指導が幅を利かせ,生徒も先生も追い込んでいる.そんな生徒たちの日常から問題点をあぶり出し,今の時代にフィットする,未来にも続くあり方を様々な改革例とともに提案する.「部活の参考書」となる一冊.

 ということで、おもに生徒目線で部活の当たり前を見直して部活の不思議を解決していく本になっています。データを基に分析して日本の部活が今どうなっているのかを詳しく知ることが出来、自分の学校のことだけではない広い視野を持てることができるようになります。

 学習指導要領なども見ながら、部活は誰の為にあるのか、部活は何の為にあるのか、部活ってやめてもいのか、部活は内申書に響くのかなど生徒が疑問に思うようなことを丁寧に解説してくれています。また教師目線からも部活になぜ関わっているのか、ブラック部活と呼ばれる所以は何かということも説明してくれています。

 

 この本を読んでいると自分が部活をしていた頃の記憶が蘇ります。

 野球部が練習をしている隣でサッカー部や陸上部が練習をしていました。サッカー部や陸上部の友達に硬式の野球ボールが当たることも珍しくありませんでした。でも生徒からしたらそれをどうにかしようと思うことはないですよね。部活でユニフォーム以外にもチームウェアを揃えたり、いっぱいバットがあるのに新しいバットをまた買ったり、そこにお金はたくさん絡んでいるはずなのに生徒がそれに疑問を抱くことはありません。大人がそういうから、私たちはやっている。ただそれだけで、自分たちに危害が及んでいたり搾取されていることに気付かないという現象が起こります。

 部活動は教育の一環であって教育的意義は高く”良いこと”であることに間違いはありません。良いことであるがゆえに、反対意見を出しにくいことが起きてしまいます。良いことであるがゆえに、やめようとは言えません。活動時間を短くすることは出来ません。

 

 自分は今大学でアイスホッケー部の部長をしています。この本は部長である自分の心にも突き刺さるものでした。私たちの部活には監督やコーチもおらず自分たちで目標や練習メニューを決めています。今は週2回の活動で、用事があったら休む部員も普通にいます。本書で言っているように、トップダウンの方式ではなく先輩が積極的に準備や片付けをするように心がけています。また部員同士で積極的に話し合うことをして部活に対しての目的・目標をみんなにとって良いものにしようと心がけています。

 

 部活というものを日本全国一気に変えることは出来ないと思います。しかし、本書などを手に取った本来の部活の主役である子どもたちが、仲間を増やして内側から変えていって欲しいなとも思います。子どもたちは変えられるエネルギーがあると思います。大人はその変わるための手助けをしっかりとできるように考え方をアップデートしていかなければなりません。

 

 多くの子どもたちの手に渡ってほしいと心から思います。